名言

東京オリンピック(五輪)2020のもう一人の立役者・大会を作り、支えた英雄たちの言葉とは

五輪の主役は選手たちであり、またその舞台を作り上げてきた人たちなのです。

ニュースを見ていると、利権の絡みや不祥事、失言など、平和の祭典とは程遠い出来事がたくさん起こっていた東京オリンピック。

選手たちのメダルラッシュに元気付けられることで以前とは異なる華やかな印象を少しばかりは取り戻したかもしれませんが、
そのステージを準備した人々の汗と涙、誇りがあったからこそ生まれた物語であり、私たちが真に感謝すべき英雄たちは競技・ニュースの裏で
日々オリンピックの成功を目指して力を尽くしていたのです。

これまでに、オリンピックをテーマに先人の名言、東京2020選手の名言指導者の名言をご紹介してきました。
今回は、東京オリンピック2020を作り上げ、尽力してきた人たちの言葉をご紹介します。

野老朝雄(デザイナー:オリンピック・パラリンピック エンブレムデザイン)

こんなに立派な五輪だったというのではなく、こんなに大変だったよ、と次の世代に伝えることにも意味があるんじゃないでしょうか

野老朝雄(デザイナー:オリンピック・パラリンピック エンブレムデザイン)

 

まず初めにオリンピック・パラリンピック エンブレムについてご紹介しておきます。

組市松紋(くみいちまつもん)
歴史的に世界中で愛され、日本では江戸時代に「市松模様(いちまつもよう)」として広まったチェッカーデザインを、日本の伝統色である藍色で、粋な日本らしさを描いた。形の異なる3種類の四角形を組み合わせ、国や文化・思想などの違いを示す。違いはあってもそれらを超えてつながり合うデザインに、「多様性と調和」のメッセージを込め、オリンピック・パラリンピックが多様性を認め合い、つながる世界を目指す場であることを表した。
Olympics.comより

藍色は江戸時代の街人が着る衣類の染物によく使われていた色です。余談ながら、新一万円札の顔となる渋沢栄一の実家は染物用の藍玉を作って財を成していました。大河ドラマ『青天を衝け』でも詳しく描かれています。

野老氏はこの藍色の紋に「つなげる」という願いを込めました。

オリンピック・パラリンピックは平和の祭典といいますが、残念ながら今も世界で争いの火は起こり続けています。

今回はさらにウイルスとの戦いも加わり、「平和」とは色々な方向から脅かされるものだということを私たちは痛感しました。

人と人との争い、ウイルスの脅威、利権の絡み合いなど、目に余る課題が噴出する中で私たちがオリンピックを開催する意義、それは平和を求める人類の強い想いが表れた瞬間なのかもしれません。

隈研吾(新国立競技場の設計)

今までの自分の常識を壊してくれる人、モノとの出会いが自分の発想を広げてくれる

隈研吾(新国立競技場の設計)

国立競技場はデザインが決まるまでの過程、建設費の問題など、多くの騒動がありましたが、紆余曲折を経て隈研吾氏の『杜のスタジアム』をコンセプトに自然と調和するどこか懐かしさを感じる日本らしい立派な姿の競技場が完成しました。

隈研吾氏の木材を多用した建築物が人々に親しまれるのは、この言葉にあるように、常識の範囲を超えた先の域に美しさが到達しているからなのかもしれません。

野村萬斎(狂言師、元開会式・閉会式 4式典総合プランニングチームチーフ)

疫病も応仁の乱もあった。それらを乗り越えてきたので、文化は滅びないだろう

野村萬斎(狂言師、元開会式・閉会式 4式典総合プランニングチームチーフ)

狂言師として伝統文化を継承する活動をしつつ、近年は俳優活動、フィギュアスケートの羽生結弦選手に“陰陽師”の動きをアドバイス、時にはモーションキャプチャで『シン・ゴジラ』になったりするなど活動の幅を広げている野村萬斎氏。

残念ながらコロナ禍の影響もあって野村氏のオリンピック開会式・閉会式演出チームは解散したため、その特異的な表現を盛り込んだ式典を見ることが叶わず非常に残念な思いをした人も多かったはず。
直接影響はなくなったとしても、東京オリンピックを華やかに盛り上げることに尽力してくれたことに尊敬の念を抱きつつ、野村氏の言葉をご紹介します。

コロナ禍の今、私たちの生活は優先度、命の選別、個々の判断など、かつてないほど生きるうえで必要な選択・判断をしなければいけない時代に突入しています。

このような中でどうしても娯楽、芸能といった生活に必ず必要ではないと考えられるものの優先順位は落とされる傾向にあります。
文化の衰退などを危惧する声もあり、確かにその通りだと思います。

しかし野村氏いわく「疫病や応仁の乱、町中が焼けてしまうような危機がありました。でも、それらを乗り越えて今に伝わってきているので、文化は滅びないだろうとも思うのです」とあるように、日本には多くの文化が残されています。

それは文化を守り継承する活動に力を注いでいる人と、それを支える多くの人がいるからに他なりません。

コロナ禍で行われた東京オリンピックは負の思い出とせず、こんな時代でも人々は前を向き、結束して平和を求めているのだという一つの表れだととらえ、新しい日本の文化の姿として歴史に刻みとらえていくことができないものかと願います。

川西純市(メダルデザイナー)

アスリートの努力と栄光、そして世界の平和、多様性を認めて一つの輪になれるよう、輝く光の輪で表現したいと思った

川西純市(メダルデザイナー)

東京オリンピックのメダルは「光と輝き」「アスリートのエネルギー」「多様性と調和」の3つの要素をコンセプトに、「光の輪を体現した」デザインとなっています。

勇ましさ、力強さを連想するメダルですが、どこか日本らしく、平和の輪をもってすべてを包み込むような印象を受ける美しいデザインです。

今回はメダルに使われる貴金属を「都市鉱山」から抽出したということも話題となり、環境へ配慮するなど、人類が取り組むべき課題への思いも込められている、そんな思いがします。

佐藤オオキ(聖火台デザイナー)

がんばらないとか、等身大とかフツウとか、そういうキーワードのほうが僕はオモシロい気がします

佐藤オオキ(聖火台デザイナー)

「どこかに大きな競技場が新しくできた、というニュースをメディアで知るのであれば、リオデジャネイロ大会と変わらない。リアルな感覚を味わうには、新しい信号なり手すりなり点字ブロックなりがあちこちに少しずつチョコチョコできて、毎日自分が通っている道が少しずつ変化していく。あ、東京五輪だからか! と気づく。佐藤オオキがデザインした新しい信号機や、トーキョー・タクシーやらが走り出したら、きっと僕らの日常は小さな「!」で、もっと豊かになるに違いない。

日本は張しすぎない姿勢が印象的な国です。勿論先進国としての役割を果たすために必要な主張はしますし、社会貢献にも積極的です。

でもどこか効率が悪い、積極性が無いなんて言われます。ある意味、東京オリンピックは背伸びした日本を見せるよりも、普段の日本らしい落ち着きと調和を大切にした姿勢の下で盛り上げることが大切なのではないでしょうか。

MIKIKO(演出振付家・元開会式、閉会式演出家)

「これがいつもの私たちです」と涼しい顔でやってのけるのが日本の「粋」

MIKIKO(演出振付家・元開会式、閉会式演出家)

MIKIKO氏が意気込む「変に海外向けを意識することなく、日本人が自信を持って、いまいちばんカッコいいといえるものを見せたいです。」、その演出を見ることができなかったことは非常に残念です。

東京オリンピックを世界に発信するために尽力されたMIKIKO氏に敬意を表してこの言葉をご紹介しました。

他にも「「日本人がいちばん素敵に見える表現を見つけなくては」という使命感が、すごくありました。」と語っているように、日本らしさ、日本そのものを表現の世界において背負い立つ覚悟をもって仕事に臨んでいたのです。

世界に向けて発信する日本人らしい姿勢・考え・行い、私たちは東京オリンピックを通じてそのすべてを世界に正しく示せたのでしょうか。

いかがでしたか。
輝く人にはそれを照らす人、応援する人がいます。
選手が競技で最高のパフォーマンスを披露することができるのは、最高のステージを作ってきた人、準備してきた人、運営してきた人がいたからなのです。
東京オリンピックを通して、今一度、多くの人の努力の下に感動が生まれてきたことを思い返してみましょう。

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