映画は私達に特別な時間を与えてくれます。
映画館の大スクリーンで観る作品は勿論、家で観る、出先にスマホで観ると言った具合に、映画鑑賞の需要や見方、こだわりなんかも多種多様化しているように感じられます。
最近は「飛ばし見」「倍速再生」なんて見方をする人が多いと言った報道もあります。
たしかに興味のある部分以外は飛ばしてあらすじが分かれば時間短縮にもなる!
といった思いは理解できますが、できればゆっくりと時間を準備して、快適な環境に身を置いて映画の世界に浸りたいですよね。
感動、笑い、悲しみ、映画は私達に色々な感情を呼び起こさせてくれます。
それは映像や役者の演技だけでなく、そこで発せられるセリフを通して私達に深く突き刺さる想いを投げかけて来ることがあります。
そこで本日は以前の投稿に引き続き、
多くの人を神秘的、非日常的、あるいは日常っぽくても意外と理想的で経験して来なかったような景色を届けてくれるジブリ作品をテーマに、
そこから私達に深く投げかけられるセリフの数々を作品ごとにご紹介します。
ジブリ作品を見たことがある人、まだ見たことがない人も、このセリフを受けて興味を持ってもらえたら幸甚です。
耳をすませば


【作品のあらすじ】 本が大好きな中学生の少女・雫。彼女はある時、図書カードに何度も連ねられた男子の名を見つける。その男子・天沢聖司の名に、淡い恋心を抱く雫。だが実際の天沢は、ぶしつけで粗野なヤツだった・・・。
「恐れることはない。遠いものは大きく、近いものは小さく見えるだけのこと。」(バロン)
「本当に才能があるかどうか、やってみなきゃわからないもんな。」(天沢聖司)
「そうかぁ、簡単なことなんだ。私もやればいいんだ」(月島雫)
「私、背伸びして良かった。自分のこと前より少し分かったから。」(月島雫)
「よし、雫。自分の信じるとおり、やってごらん。 でもな。人と違う生き方は、それなりにしんどいぞ。 何が起きても、誰のせいにもできないからね。」(月島雫の父親)
「自分の中に原石を見つけて、時間をかけて磨くことなんだよ。」(天沢聖司の祖父)
夢に向かって全力で取り組む 月島雫 と 天沢聖司 。
そして周りの大人たちも、夢に走る二人に向けて暖かく、厳しく言葉をかけてくれる存在であることがわかります。
バイオリン職人を目指し先を走る 聖司 に対して焦る思いの 雫 でしたが、物語を描くという夢に向かって走り出します。
何かを始めるとき、人は憶病になりがちですが、やってみなければ才能があるかも気付くことができません。
やる気や何かを始めるきっかけというものは待つのではなく、自ら動いて作り出し、そして継続していくことが大切だということを学ぶことができます。
もののけ姫


【作品のあらすじ】 山里に住む若者アシタカは、怒りと憎しみにより“タタリ神”と化した猪神から呪いをかけられてしまう。呪いを解く術を求めて旅に出るアシタカはやがて、西方の地で“タタラ場”にたどり着く。エボシ御前が率いるタタラ場では、鉄を造り続けていたが、同時にそれは神々の住む森を破壊することでもあった。そして、そんなタタラ達に戦いを挑むサンの存在をアシタカは知る。人の子でありながら山犬に育てられた彼女は“もののけ姫”と呼ばれていた……。
「誰にも定は変えられない。ただ待つか、自らが赴くかは決められる」(ひいさま)
「わからぬ、だがともに生きることはできる」(アシタカ)
「森とタタラ場、双方生きる道はないのか」(アシタカ)
「シシ神は死にはしないよ。命そのものだから。私に生きろと言ってくれた」(アシタカ)
「アシタカは好きだ。でも、人間を許すことはできない」(サン)
「それでもいい、サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。ともに生きよう。会いに行くよ」(アシタカ)
「みんな、初めからやり直しだ。ここをいい村にしよう」(エボシ御前)
価値観、利害関係、生き方が真反対の立場にある者同士が共存することは難しいが、それでも共に生きる日地を模索する苦悩を感じる物語が展開されます。
奇しくも新型コロナウイルスとの戦いに追われる現代の人類において、立場を変えてみれば『もののけ姫』の人間が森から見ればウイルスのような存在ととらえることもできます。今の私たちに、生き方の異なる者同士がどのように向き合えばよいのか、今一度考えるきっかけを与えてくれるかもしれません。
千と千尋の神隠し


【作品のあらすじ】
両親と共に引越し先の新しい家へ向かう10歳の少女、千尋。しかし彼女はこれから始まる新しい生活に大きな不安を感じていた。やがて千尋たちの乗る車はいつの間にか“不思議の町”へと迷い込んでしまう。その奇妙な町の珍しさにつられ、どんどん足を踏み入れていく両親。が、彼らは“不思議の町”の掟を破ったために豚にされてしまい……。
「嫌だとか帰りたいとか言わせるように仕向けてくるけど、働きたいとだけいうんだ。辛くても耐えて機会を待つんだよ」(ハク)
「湯婆婆は、相手の名を奪って支配するんだ。いつもは千でいて、本当の名前はしっかり隠しておくんだよ」(ハク)
「私が欲しいものは、あなたには絶対出せない」(千尋)
「私の本当の名はニギハヤミコハクヌシだ」(ハク)
「そう簡単にはいかないよ。世の中には決まりというものがあるんだ」(湯婆婆)
「さあいきな、振り向かないで」(ハク)
名前を奪い、仕事を貸して支配を強める湯婆婆や、相手を飲み込むことでしか話すことのできないカオナシといった個性あふれるキャラクターが織りなす一概に悪者といえる存在のいない世界観で奮闘する主人公の成長を見ることができる作品です。
猫の恩返し


【作品のあらすじ】
ごく普通の女子高校生ハル。学校には遅刻するし、ゴミ箱の中身をぶちまける大失態。おまけに、憧れの男の子が別の女の子といい感じで2ショットになっているのを目撃してしまい、すっかり落ち込んでいた。そんなハルは、たまたまトラックにひかれそうになった1匹の猫を助けた。しかし、その猫が実は“猫の国”の王子ルーンだったことから、ハルはお礼として猫の国へと招待される。そこでハルは猫たちから盛大な歓迎を受け、いつしか“つらい現実より、猫になって楽しく生きたい”と願うようになる。と、そこへ猫の男爵バロンが現われるのだった。
「ダメだハル、自分を見失うんじゃない。君は君の時間を生きるんだ」(バロン)
「私、間違ってなんかいなかった。猫を助けたことも迷って苦しんだことも、みんな大切な自分の時間だったんだ」(ハル)
「もしハルが本当に私たちのことを必要としたのなら、きっとまた猫の事務所は開くだろう。その時までしばしの別れ!」(バロン)
猫を助けたことを公開する主人公でしたが、物語が進むにつれて積極的な姿勢となり、心境の変化をうかがえます。自分の気持ちに正直になり、自らの行いに自信をもって肯定できるようになった姿に成長を感じることができる物語です。
余談ながら、前述でご紹介した『耳をすませば』の主人公で物語を描くことを夢としていた 月島雫 が描いた物語が本作、という設定なのです。
最後にまたバロンとお別れをしなければいけないのはさみしいですが、『耳をすませば』の精神的な続編にあたる物語を見ることができるのは本作のもう一つの魅力かもしれません。
ハウルの動く城


【作品のあらすじ】
父親の帽子店で日々、帽子を作りつづけていた18歳のソフィーは、ある日、荒地の魔女に呪いをかけられ90歳の老婆になってしまった。ソフィーはハンサムだが弱虫な魔法使いハウルと出会い、奇妙な共同生活を始める。
「もう!ハウルなんか好きにすればいい!あたしなんか美しかったことなんて一度もないわ!!こんなとこ、もういやっ!」(ソフィー)
「お言葉ですが!ハウルが何故ここへ来たがらないのか、分かりました。ここは変です。招いておきながら年寄りに階段を登らせたり、変な部屋に連れ込んだり……まるで罠だわ。ハウルに心が無いですって?確かに、わがままで臆病で、何を考えているか分からないわ。でもあのひとはまっすぐよ。自由に生きたいだけ。ハウルは来ません。魔王にもなりません。悪魔とのことは、きっと自分で何とかします。私はそう信じます!」(ソフィー)
「何故? 僕はもう十分逃げた。ようやく守らなければならないものができたんだ。君だ」(ハウル)
「ごめんね、私、グズだから。ハウルはずっと待っててくれたのに。」(ソフィー)
頼りになるけど少し心の弱いハウルと、元気で前向きなソフィー、特殊な魔法を使うマルクル、口は多少悪いけど憎めないカルシファー、見た目からインパクトのある荒地の魔女など、個性あふれるキャラクターが織りなす物語が楽しく、時にウルっとさせてくれることもあり、直近作品の『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』とは異なる温かい雰囲気で楽しめる作品に癒されます。
いかがでしたか。
どの作品も世界観は異なりますが、それぞれ主人公と個性豊かなキャラクターたちが相手を思い、自分の心の声に耳を傾け、正直な気持ちをもって物語を進めていく!そんな様子がうかがえます。
皆さんもジブリの世界でひと時を過ごし、今の自分の人生をより良いものにする種を見つけてみませんか。
画像出典:スタジオジブリ公式サイト